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コラム


チェンソーアート初体験


「ほんとに、この道で合ってるよなぁ?! 」
「たぶん・・・」

豪雨と霧の中、もう2時間近く運転している。

2週間ほど前に仕事で使うチェンソーをネットで検索していたら 突然”龍神チェンソーカービング倶楽部・講習会のお知らせ”という 項目を見つけた。

チェンソーカービング? 講習会? なんのこっちゃ?
とぺージを開くと、初心者でもできるチェンソーを使った彫刻の 講習会を龍神で開催するとの事。

好奇心旺盛な私はさっそく申し込んだが、一人では心細いので 甥っこのマサトを誘って出かけたわけである。

「この天気で講習会やんのかな?! 」
「う〜ん・・・」

そんな不安のダブルパンチの中、車を走らせていると突然、雨が上がり 目の前に講習会の会場らしき場所が飛び込んできた。

そこには10人ぐらいの、頭にはヘッドホンみたいなもの、サングラスに、カーボー イがはいているような赤い前掛けみたいなズボンをつけた見慣れない人たちがチェンソー を持ってウロウロしていた。

車を降りると「あっ! ニュウさん」と親しげに声をかけてくれた人がいた。
今日の講師の松本氏である。彼には以前林業の研修でお世話になった事が あったのですこし緊張が和らいだ。

講師の松本氏が 「今日はうちのクラブ会員の練習会も横でやってますので」とのこと。
見慣れない人たちの正体が判明した。

早速、講習が始まり、まず講師の言われるままに見慣れない人たちがつけていた安全 防具をつけ、

今日作る小さなログハウスの実演が始まり、

「一通り作るので見てて下さい」

と言うやいなやチェンソーのけたたましいエンジン音が鳴り、切り取った木片とおが 粉が飛び散る迫力は「すごい!」としか言いようがなかった。それに加えチェンソーだけで屋根や壁の細 かいところまで見事にわずか30分程度で彫り上げた。

まるで手品でも見せてもらっているかのように生徒の私たちはあっけにとられながら も食い入るように見た。

続いてパーツごとに説明を受けながら生徒たちが制作にかかった。

講師の松本氏がいとも簡単に彫っていたパーツが何でこんなにうまく彫れないんだろ うと首をかしげている間に4時間の講習が終わってしまった。

目の前には壁のいがんだ逆三角形のログハウスが僕をうらめしそうににらんでいた。

「おまえの方がうまいなぁ・・・」
「そんなことないよぉ・・・」

帰りの車中でそんな会話を交わしながら、ふたりは朝の不安を満足感と充実感に変えていった。