先日、いつものごとく作業場で作品を制作しているところへ、
おそらく80前後やに見受けられるおばあちゃんが木の葉のごとく風に吹かれながら私のそばに来るなり
「おにいちゃん、これってチェンソーアートやな?!」
「はぁ〜、器用なもんじゃ」と、
二言だけ言い残し、また風に吹かれながら去っていった。
あんな年配の方の口からチェンソーアートという言葉が発せられたことに驚きと感動を覚えたが、それ以上に私の作品に慈しむ ような笑顔を投げかけてもらえたことに対してより深い感謝の気持ちが込み上げてきた初冬の出来事であった。
思い返せば、4年前にチェンソーアートを始めた頃はクラブの練習場で仲間とチェンソーの爆音を立てて作品を制作していたら、通りがかりの人々から奇異な目でじろじろ見られたものであった。
ここ数年でマスコミに取り上げられ、全国に同好会やクラブができチェンソーアートの大会やカービングショウが催されるようになった。うれしい反面、ただ一般の方への認知度が高まるにつれ、どのように我々の活動の意図が伝わっているのか、チェンソーアートをやる人々が実際に増え普及するに従って本来危険性を伴うチェンソーに対する安全への対策は十分なのかという不安に駆られるのも事実です。
このコラムでは、チェンソーアートを始めたきっかけ、練習する日々、ゆかいな
倶楽部の仲間たち、カービング大会で出会った人々、カービングショウでの失敗談、新し
いモチーフの依頼作品を完成させるまでの苦労話、などこれまでの体験談やこれから体験す
るであろう試練について飾ることなく語っていこうと考えています。
このコラムが皆さんにチェンソーアートをもっと理解してもらえる助けとなれば
幸いです。